全国では余りにも急激な教育改革の結果、保護者の要求がエスカレートしていると聞く。
なぜ、要求がエスカレートするのか。
どんな要素がそうさせるのか。簡単に振り返ってみた。
近年、学校を企業と同じように見立て、トップダウンの教育改革が矢継ぎ早に行われた。
PTAに代わって学校評議員制度がうまれ、保護者との合意づくりに代わって学校評価制度が生まれた。教職員の同僚性に代わって教職員評価制度が生まれた。学校は説明責任を果たすための努力を次々に強いられた。
保護者は我が子を学校という商品生産工場に預け、品質の向上を求めた。
預けた我が子の出来・不出来はもっぱら学校の先生達の努力であり、その評価は「成果主義」に基づいて査定された。
保護者は、『家庭教育の先生』という立場を自覚することはなかった。
夜寝る時間も朝起きる時間もどんな食物栄養をとるかも、さして気にすることもなかった。
それらの課題も学校の先生の課題といわんばかりに学校の努力を求めた。
長い月日が経って、PTAの組織も活動も衰退した。その存在自体を疑問視する親もいた。地域には学校に期待する声も活動も衰退した。親同士の助け合いや学び合いは影を潜め、『孤立する親の存在』が広がっていた。
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これは極端な話ではあるが、教育改革の負の遺産といえる。
暗い話になったのには訳がある。
稚内の各学校にはこうした暗い負の遺産を持ち込ませない努力があった。
この事実から出発して明るい小中一貫教育を創造できる可能性が広がっている。
2月1日 北地区学校間交流会が開かれた。
北地区の稚内中央小と稚内中学校の先生、西小中の代表の先生達を中心に、稚内市教育委員会の方々や地域の方々も足を運んでいた。
この学校は稚内の他の学校と同様に30年もの「交流・連携」を積み上げ、「連携から一貫へ」を指向してきた。先生達に暗さはない。なぜなら上からの教育改革時には、困難であっても懸命に支え合って、保護者との共同や地域との共同を大切にして来たからだ。
その要はPTAだった。
今や学級・学年PTA活動にしても全校PTA活動にしても全道に誇れる活動を展開している。それは稚内のどの地区でも同じだ。こうした積み上げを踏まえて『北地区小中一貫教育』の具体化に大きな一歩を踏み出している。
大きな一歩の踏み出しは、大きな壁の存在を意味した。
それは、家庭教育の機能喪失だった。基本的生活習慣の教育は家庭教育の要。
寝る・起きる・食事・対話が欠落した家庭の存在が大きな課題となった。
教育改革時の負の遺産は、やはり家庭に入り込んでいた。
さあー、どうするか!
「親に言っても仕方がない。子どもに言ってやらせる」のも方法の1つ・・・・。
「一点突破で寝る・起きる・食事・ケータイ」で共同するのも方法の1つ・・・。
その他、いずれの方法であっても乗り越えることの出来る『大きな壁』までたどり着いていることを確信した。